株主・投資家のみなさまへ

原材料価格や中国経済の影響から前期上半期を下回る結果に

第64期(2024年3月期)上半期は、パーム油・ヤシ油といった天然油脂相場価格の下落や中国経済の停滞などの影響を受けました。主要オレオケミカル製品の価格は2020年後半から値上がりして2022年半ばにピークを迎え、当社グループの業績に大きく寄与してきましたが、現在では2020年初めのレベルにまで落ち着いてきています。また、当社グループと関連の深い界面活性剤業界そのものも、生産・販売数量が前年より1割ほど下がっています。

こうした状況のもと、第64期上半期のグループ全体の業績は、売上高11,113百万円(前年同期比11.9%減)、営業利益236百万円(前年同期比24.0%減)、経常利益349百万円(前年同期比20.0%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益246百万円(前年同期比22.2%減)となりました。なお、売上高・利益ともに創業以来最高の業績となった前期を超えることはできませんでしたが、第2四半期の時点では前期に次ぐ業績となっております。

化学品事業では最終製品メーカー向け原材料販売が順調に推移

化学品事業では、前述の通り天然油脂相場価格の下落に加え、中国をはじめとする海外経済の減速の影響で、界面活性剤などの中間加工メーカー向け原材料の数量も伸び悩みました。一方で、香粧品やトイレタリーなどを生産する最終製品メーカー向けの原材料販売は比較的順調に進み、収益率が高いことから利益面で化学品事業全体を下支えしています。環境ソリューションビジネスは、業績への貢献度は低いものの、着実に案件が増えてきています。

日用品事業は、前期に続き厳しい状況が続いています。コロナ禍の巣ごもり需要がなくなって以来、メインのお客様である生協での販売が低調となっているのが主な要因です。原材料を輸入する日用品の場合、為替の影響を受けやすいことも要因となっています。まだ生協ルートの落ち込みをカバーするには至っていませんが、ホームセンターなど量販店への販売に力を入れているところです。

土木建設資材事業は、大型のトンネル工事物件を受注して環境関連薬剤の販売が好調に進み、上半期の業績に寄与しました。さらに、上半期後半になって高速道路などでの土木グラウト工事が動き出しています。工事は下半期だけでなく、来期も続くと考えられます。

海外拠点では、子会社である中国の昭栄祥は、ゼロコロナ政策解除後も中国国内の景気が戻らないため低調となっています。同じく子会社であるタイのSTTは、タイ国内の経済活動が活発なこともあり、前期同様に比較的堅調に推移しています。これまでタイでは自動車部品メーカー向け洗浄剤をメインに扱っていました。しかし、電気自動車が増えた影響などもあり洗浄剤についてはやや低調ですが、それをカバーするかのようにケミカル関連製品の販売が増加し、洗浄剤とケミカル関連製品の2本柱体制ができつつあります。この4月には日本からの出向社員を増員しました。実際に業績に寄与するのはまだ先のことですが、より収益を生む体制を整えていきたいと考えています。

SDGs関連の推進などサステナブルな取り組みに注力

現在、当社グループでは環境への配慮はもちろん、コーポレート・ガバナンスの強化や働き方改革、業務効率化のためのDX推進など、幅広くサステナブルな取り組みに力を入れています。役員を中心としたサステナビリティ委員会も設置しており、取り組むべき課題について議論を進めています。環境に関しては、もともと当社は「環境と安全に配慮した価値ある商品の提供」を経営理念に掲げ、天然油脂由来のオレオケミカルに特化するなど、創業以来サステナブルな企業活動を続けてきました。その歴史と強みを活かした経営を行っていきたいと考えています。

SDGs推進については、当初の推進チームからさらに一歩進み、新たなチーム編成で第2ステージに臨んでいるところです。従業員エンゲージメント向上では、毎月行うショートサーベイと、年2回行うディープサーベイを実施しました。サーベイ結果の分析をもとに、会社の成長と従業員の成長・幸せがリンクするような会社の在り方・働き方の実現を目指します。コーポレート・ガバナンスの強化では、取締役会の実効性評価を行い、6月に結果を開示しました。

今後もこうした取り組みを進め、課題を認識して継続的に改善し、さらなる企業価値の向上に努めます。

営業活動や展示会出展を強化し、第64期通期での利益確保を目指す

下半期については、中国経済や中東情勢の行方など不透明な要因はあるものの、上半期と同じような状況が続くと見ています。当社グループとしましては、中国をはじめ世界経済が少しでも上向きになれば、現在苦戦している海外向けの自動車・繊維油剤関係の販売が復調すると考えています。

第64期通期の見通しでは、営業利益や経常利益といった利益面に関しては5月に発表しました通期連結業績予想を上回るよう取り組んでいます。加えて売上高についてもできる限り業績予想に近づけられるよう努力を怠らない所存です。

そのためにも通常の営業活動を継続するとともに、当社グループの事業紹介も兼ねて、環境ソリューションビジネスを積極的にアピールしていきたいと考えています。10月にはインテックス大阪の「ものづくりワールド」、11月にはポートメッセなごやの「メッセナゴヤ2023」に出展しました。展示会出展により、ニオイや水の困りごとを解決する機器装置の販売だけでなく、お客様とのつながりを深めることで化学品事業への展開も期待できます。さらに現在、節電やCO2排出量削減につながる装置の普及に取り組みつつあり、先々はお客様の困りごとを解決する製品ラインナップの充実を図っていきたいと考えています。

当社グループは、今後もサステナブルな社会に貢献できるよう、引き続き、安定した持続的成長を目指して事業活動に邁進します。株主の皆様におかれましては、ぜひとも長期目線で見守っていただき、末永いご支援ご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。